本編最高、解説最低
本編は文句なしに素敵です。ただ、田中芳樹の解説が最低です。 古龍の解説もくだらないので、もう田中芳樹には解説をやらせるべきでないと思います。
うわっ!
この本を初めて書店で見たときには驚いた。 解説を読んだときには、驚天動地。 挿絵を見て……絶句。 解説を読んで……。中国武侠ものという見地で考えるなら、他のレビュアーがお書きになっているとおり、中途半端な印象は否めません。新聞小説ですし。 確か今でも新潮文庫『ひかりごけ』に「女賊の哲学」という短編が入っているはずです。それも同じモチーフで描かれていますが、完成度は段違いです。そちらを読んでみてください。 ただ、挿絵の鶴田謙二氏の作品は、ここで(つまり、武田泰淳の小説の挿絵で)、「ええ、十三妹ってこんな幼くない!」と思った人にもお勧めです。私は、鶴田氏の独特のスチーム・パンクの作風に、この後はまってしまいました。
ラストが惜しい・・・
「十三妹(シイサンメイ)」という名の日本で言うなら女忍者のお話。 彼女は中国の「児女英雄伝」のヒロインで、そのお話では「安公子」という好青年と結婚して「めでたしめでたし」らしいのだが、その続編といったところか。 出来すぎた「女傑」と結婚した安公子の苦悩。 十三妹の「私は平凡な女です」というセリフ。 とっても切ないお話なのに、すっとぼけた文体でどこかマヌケ。 万能な奥様をお持ちの平凡な殿方にはオススメ出来ません。
60年代に書かれた中国女武侠小説、すごい先見性
武田泰淳といえばカンニバリズムの『ひかりごけ』や富士山に思い入れのある作家、というイメージしかありませんでした。 ところがです、60年代にこんな女武侠小説を書いていたとは!『三侠五義』『児女英雄伝』『儒林外史』という中国原典があるというもののこれを全部くっつけてしまうなんて、解説にあるとおり山田風太郎も真っ青というべき発想です。これを、映画『グリーン・デスティニー』にはじまり京極夏彦『ルー・ガルー』諸星大二郎『碁娘伝』に連なる系譜の先駆けと言わずして何というべきか。 解説の田中芳樹氏が指摘しているとおり、後半が尻切れトンボという印象は否めませんが、「先駆者の悲哀」を噛み締めながら前半の活劇を楽しむことにいたしましょう。
中央公論新社
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